ある日、プロの技をみた。

先日あるスーパーに行った時の事。 皆さんも経験があると思うが会見レジに並ぶ際にどの列に並ぶかでけっこう運命は変わってくるものである。どこのレジが早いのか。そんなのあまり変わらないからいいじゃん、まっていれば必ず順番がくるから大丈夫という心が広く余裕がある方、私はそんな人になりたいと思う。しかし、実際は小心者でせっかちな傾向がある。やはり待つ時間は短い方がいい。だいたい同じ位にレジに並んだ人とどっちが早いかレースを心の中でしてしまう。ちなみに全員ではないがADHDの方も順番待ちが苦手なようだ。

話は戻ってどの列に並ぶのか、これは運命の分かれ道である。それも一瞬の選択である。どの列に並ぶかも列の長さやスーパーのカゴの中身、また最近はカードで支払えば早いしなんといっても店員さんの処理能力が重要だ。これを瞬時に分析し判断しないといけない。なかなか過酷な戦いである。彼もきっと心の中でどれだけさばけるか大会にエントリーしているのだろう。しかし、皮肉なものでなかなかお客さんも彼の職人技を見逃さないのである。並びは長いがさくさく進む彼のレジにみな並んで行く。彼の優れた処理能力が列を長めにしたしているも彼は同日まるでスケートリンクの上の羽生選手のようにレジをすすめているのである。言いすぎかな。

そんな私もやはり彼の列に並んだ。けっこう長く長めの列もどんどん進んでいく。お客さんも彼のベースをくずさず一定のリズムで支払いをすませる。私の前は年配のご婦人だ。なぜか折り曲げた新聞を読みながら順番を待っていたのである。そして、順番になるとさっと新聞の広告を差し出しこのお店の方が安いですみたいなことを伝える。そうか、この店は他店の方が安い場合は同一価格にしますと広告している店だ。私は家電量販店で価格.comの価格を見せたことはあったがネットは無理と一蹴されたことがある。すごい!まさかこの技をスーパーで使うとは。まさにお客さんもプロなのである。しかし、店員さんも負けていない。全く動じず新聞をみてうなずいたと思うと価格を打ち直した。もちろんブライトタッチである。

その時私はプロ対プロの技をみた気がした。お二人に完敗だったが、素晴らしい試合を見せてもらった。満足し、自宅に向かった。

吉祥寺いろはメンタルクリニック 日比慎太郎